「和歌山あれやこれや」のカテゴリーでは、和歌山県内各地に伝わる歴史や伝承などを気ままに紹介していきます。
前回、前々回と飛鳥時代の呪術者・役小角(えんの おづぬ/おづの)に関連した霊場を紹介しましたが、前々回の「墓の谷行者堂」の項で詳述したように、「小角は不思議な能力を有し、自由自在に鬼神を使役していた」という伝承は「日本霊異記(にほん りょういき/れいいき)」という説話集に描かれた物語が原型となっているようです。
今回は、その「日本霊異記」に関して、その作者が紀伊国の名草郡楠見粟村(現在の和歌山市粟)と密接な関係を有していたのではないか、という論文を紹介したいと思います。