「イベント回顧録」のカテゴリーでは過去の個人サイトに載せていたイベントの記録などを再掲しています。
今回は平成12年(2000)に行われた生石高原の山開きの記録です。
近年は「インスタ映え」スポットとして人気を集めている生石高原ですが、ここでは毎年4月29日に山開き神事が行われるとともに、各種イベントが同時開催されています。
このブログでも、平成8年(1996)以降毎年の行事を紹介していますので、生石高原に関する蘊蓄や山開き神事などについては過去の記事を参照していただけると嬉しいです。
生石山の弘法水 ~金屋町(現有田川町)生石~ - 生石高原の麓から
イベント回顧録 -02生石高原 カテゴリーの記事一覧 - 生石高原の麓から
ゴールデンウィークの幕開けとなる4月29日「みどりの日(当時)」、生石高原では恒例の「山開き&緑の感謝祭」が行われました。
昨年は、南紀熊野体験博の開会式と重なったため5月3日に開催されましたが、今年は例年どおり4月29日の開催となり、おだやかな天候のもと、県内はもとより近畿一円から約2,000人が参加して盛大なイベントが行われました。
生石高原の山開きを告げ、今年一年の登山者の無事を祈るための神事が厳粛に執り行われました。
地元町や県関係者によるテープカットにより、今年の生石高原の登山シーズンが正式に開幕されました。
ハイライトはなんといっても「餅投げ」。今年は、生石高原観光協会主催の「景品付き餅投げ」と、山頂にある弘法大師の祠を祀る地元金屋町生石区主催の「弘法大師大餅投げ」と、2回も開催されました。
時間 | イベント |
10:30~ | 山開き神事、テープカット、緑化功労者表彰 |
13:00~13:30 | 緑のウルトラクイズ |
13:00~14:00 | 花の苗配布、緑の募金活動 |
13:00~14:30 | 木工教室 |
13:30~14:00 | ヤッホーコンテスト |
14:00~ | 景品付き餅投げ(生石高原観光協会) |
14:30~ | 弘法大師大餅投げ(金屋町生石区) |
生石高原のイベントに関するお問い合わせは、紀美野町役場(TEL:073-489-2430)へ。
上記の記事の中で、生石高原の山頂に弘法大師の祠があると記していますが、これは山頂にある笠石(かさいし)と呼ばれる巨岩の一角に設けられているものです。
伝承によれば、弘法大師(空海)が真言密教の聖地をもとめて全国を行脚している際にこの地を訪れ、はるか東に高野の峯を見つけて「これこそ探し求めた聖地」と大喜びして急ぎこの地を立ち去ったが、このとき喜びのあまりに置き忘れた笠がぐんぐん大きくなって現在の「笠石」になったとされています。
また、江戸時代後期に編纂された地誌「紀伊続風土記」の「冬村(現在の有田川町生石)」の項には次のような記述があり、この時点で既に笠石には弘法大師の小堂があり、大師が護摩修行を行った地として伝えられていたようです。
生石嶺
村の北の高嶽をいう
東草集に生石峯とある 是なり
山の羊腹 山ノ保田荘楠本領に大石あり
生石社という
生石の名 此より起れり
此嶺 那賀郡の境にして
嶺まで坂道二十五町(筆者注:約2.7キロメートル)
海部 名草郡 那賀 在田 日高 の諸村眼下にあり
嶺に笠石と言う石あり
諸方より望みて目印となすべし
詳に那賀郡小川荘中田村の條に出たり
空海護摩修行ありし地なりとて
大師の小堂あり
※筆者注:読みやすさを考慮して、漢字、かなづかい等を適宜現代のものにあらためた
紀伊続風土記. 第2輯 伊都,有田,日高,牟婁 - 国立国会図書館デジタルコレクション