生石高原の麓から

和歌山の歴史・文化・伝承などを気ままに書き連ねています

Starlight Symphony in 和歌山マリーナシティ(2000. 8.16)

 「イベント回顧録」のカテゴリーでは過去の個人サイトに載せていたイベントの記録などを再掲しています。

 

 今回は、平成12年(2000)に和歌山マリーナシティで開催された「 Starlight Symphony(スターライト シンフォニー)」というイベントの記録です。

 

 「Starlight Symphony」は、1994年に同地で開催された「JAPAN EXPO 世界リゾート博」の記念イベントとして実施されたもので、同趣旨のイベントとしては「和歌山ルミナリエ(1995)」、「和歌山サマーナイトイルミネーション(1996)」、「和歌山ソレイヨン(1997)」、「和歌山マリンファンタジー(1998)」、「和歌山サマーレジェンド(1999)」に続く6回目となります。
※「ソレイヨン」「マリンファンタジー」「サマーレジェンド」については下記の各リンク先を御覧ください(「ソレイヨン」の記事中で「ルミナリエ」についても言及しています)
WIXAS Meet The World '97 in 和歌山ソレイヨン(1997.8.16) - 生石高原の麓から
"Meet the World '98" in 和歌山マリンファンタジー(1998.8.14) - 生石高原の麓から
和歌山サマーレジェンド(1999. 8.14) - 生石高原の麓から

 

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世界リゾート博記念イベント
Starlight Symphony
in 和歌山マリーナシティ


 和歌山市の沖合に浮かぶ人工の島「和歌山マリーナシティ」では、平成6年に開催された「世界リゾート博」を記念して毎夏「光」をテーマにしたイベントが開催されています。
 平成7年「和歌山ルミナリエ」、平成8年「和歌山サマーナイトイルミネーション」、平成9年「和歌山ソレイヨン」、平成10年「和歌山マリン・ファンタジー」、平成11年「和歌山サマーレジェンド」と続いたこのイベントはすっかり和歌山の夏の風物詩として定着してきました。

 今年は、「Starlight Symphony(スターライト・シンフォニー)」と銘打って、~きらめく笑顔で輝く地球を~ をイベントテーマに、光と音による華麗なショーが繰り広げられます。また、音楽にあわせて海上から次々と打ち上げられるダイナミックな花火も見物です。

 このイベントは8月12日から20日までの毎夜開催されます。皆さんも夕涼みがてら一度マリーナシティを訪れてみませんか。

 

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 初日の8月12日には、オープニングイベントとして B.B.WAVES のコンサートが行われました。
 B.B.WAVES安室奈美恵SPEEDを生んだ沖縄アクターズスクールに在籍する生徒の中から選び抜かれたメンバーにより構成されるグループで、歌、ダンスともに現在の芸能界でもトップクラスの実力者ぞろいです。
 この日はオリジナル曲を含めて約20分間のステージを見せてくれましたが、もしかすると、この中から21世紀の日本を代表するスターが生まれるかもしれませんよ。

 

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 「スターライト・シンフォニー」のイルミネーションを監修したのがこの人、地元和歌山大学システム工学部の森脇裕之助教授です。
 といってもほとんどの人がご存じないでしょうが、「紅白歌合戦小林幸子の衣装の電飾を担当している人」と言えば、「あ~~っ!!」と思っていただけるのではないでしょうか。
 森脇先生は、大学の学問だけではなくメディア・アーティストとしての顔も持っていて、「夢を見る夢を見た……」(1995年ARTEC'95準グランプリ)、「Geo-Sphere」(1996年ロレアル奨励賞)、「記憶の庭」(1998年マルチメディアグランプリ アート賞)などの代表作があります。

 

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 音楽監修は、この人、タケカワユキヒデ氏。
 言わずと知れた「ゴダイゴ」の作曲家兼ボーカリストであるとともに、「元総理探偵・霧島幸四郎」シリーズや「ガンダーラ」シリーズを発表している作家でもあります。
 この日は、開会式後にオープニングコンサートを行い、「とらふす少年少女合唱団」「貴志川少年少女合唱団」の子ども達とともに「ビューティフル・ネーム」や「銀河鉄道999」などのヒット曲を披露してくれました。
 また、タケカワユキヒデ氏自身の三女と四女の二人のユニット「T's Company」もステージに登場し、息の合った歌声を聞かせてくれました。

 

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 コンサート終了後、場内の照明が徐々に暗くなるとステージ中央に据えられたオブジェ「笑顔の地球」が輝き始めます。
 続いてサーチライト、レーザー光線、発光ダイオードなどが次々と光を放ち、会場全体を幻想的な雰囲気に包みます。

 

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 会場がスモークで包まれると、「笑顔の地球」が開き始めます。
 この日は初日だったためオブジェはその骨格を晒したままですが、この表面には来場者の顔写真が次々と貼れるようになっており、最終日には2万人の笑顔で飾られる予定です。

 

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 クライマックスには、シンボルオブジェの後方から次々と花火が打ち上げられます。
 そして、会場はそのまま大花火大会へと移り変わっていくのです。

 

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 このイベントでオープニングアクトをつとめた B.B.WAVES(ビービーウェイブス)は、文中にもあるように沖縄アクターズスクールによるオーディションで選抜されたデビュー予備軍グループという位置づけのユニットですが、後に俳優の小栗旬と結婚したモデル・女優の山田優が在籍していたことが知られています。これ以外にもB.B.WAVESでの活動実績がある人物としては、知念里奈、misono、三浦大知安座間美優黒木メイサらがいるそうですが、「デビュー予備軍」という位置づけのために常にメンバーが入れ替わっていたそうで、このイベントの際にこうした後に有名となったメンバーが出演していたかどうかは不明です。
B.B.WAVES - Wikipedia

 

 また、このイベントでイルミネーションの監修を行った森脇裕之氏は1964年和歌山県生まれで、現在は多摩美術大学の教授をされています。
情報デザイン学科 | 多摩美術大学 教員紹介

 上記文中にあるように、当時の森脇氏は、年末のNHK紅白歌合戦」で毎年話題となる「小林幸子の巨大衣装」の電飾を担当したことで一躍注目を集めていました。

www.youtube.com

 当時の活動について森脇氏はインタビューで、次のように答えています。

かれこれ20数年前のことですが、紅白歌合戦に出場する歌手の小林幸子さんの衣装を光らせることになったんです。光をたくさん見せるために、今ではおなじみの“あの”巨大な衣装をつくって光らせました

晦日の代名詞のような存在ともなっていた、小林幸子さんの豪華な衣装。実は、あれは森脇さんの制作だった。

その頃は、ちょうど『メディアアート』という分野が立ち上がったばかりのころで、“演歌+メディア”を組み合わせて新しいジャンルの芸術を開拓しようとしていました。その後も、技術が発展してゆき、IT技術を使ったアートやICC(NTTインターコミュニケーション・センター)の立ち上げに精力的に参画していました。メディア芸術祭が一般化し始めたのも、この頃でしたね

www.plart-story.jp

 

 タケカワユキヒデ氏についてはあらためて説明の必要はないと思いますが、同氏の所属していたグループ「ゴダイゴ」は、1985年に一旦解散(当時は「活動休止」と発表)した後、何回かの再始動、休止を経て、2006年に奈良・東大寺で行われたオリジナルメンバーによるコンサートを機に「恒久的な再始動」を宣言しました。
タケカワユキヒデ - Wikipedia
ゴダイゴ - Wikipedia