「イベント回顧録」のカテゴリーでは過去の個人サイトに載せていたイベントの記録などを再掲しています。
今回は平成14年(2002)に行われたサッカーの世界大会「2002 FIFAワールドカップ Korea/Japan(日韓ワールドカップ)」にまつわる話題です。
この大会には日本・韓国を含む32か国が参加しましたが、このうち日本でグループステージに参加する16か国が日本国内をキャンプ地とし、韓国でグルーブステージに参加する16か国のうち8か国が日本で事前キャンプを行いました。
こうしたキャンプ地の選定にあたっては、日本全国で誘致合戦が行われたのですが、和歌山県では、韓国でグループステージに参加するデンマークが事前キャンプを行うことになりました。
今回の記事は、これに関する情報を紹介したものとなっていますのでご覧ください。
2002FIFAワールドカップ日韓大会に出場するデンマーク代表チームが和歌山でプレキャンプを実施することになりました。デンマークと言えば、紀伊水道で火災を起こした船の船員を救おうと嵐の海に飛び込み絶命した「クヌッセン機関長」の偉業によって和歌山県とは以前からゆかりのある国です。
今回の代表は、オランダリーグのフェイエノールトで日本代表の小野伸二のチームメイトでありライバルでもあるトマソンが選ばれていることでも知られており、「デニッシュ・ダイナマイト」と呼ばれる強豪チームです。
また、5月26日には和歌山でチュニジアチームと国際Aマッチが行われます。和歌山で国際Aマッチが開催されるのはもしかしたらこれが最初で最後かもしれません。ぜひともご観戦ください。
1 キャンプ日程
期 間 | 平成14年5月20日~27日 |
平成14年6月12日~ (一次ラウンドを勝ち上がった場合) |
2 公開練習(予定)
期 間 : 平成14年5月21日 ~ 25日 場 所 : 県営紀三井寺公園球技場、陸上競技場 |
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5/21 | 5/22 | 5/23 | 5/24 | 5/25 | |
10:00~ (75分~120分間) |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
16:30~ (75分~120分間) |
○ | ○ | ○ |
※公開練習は無料です。
※なお、デンマークチームの調整により練習が非公開になる場合もありますのでご了承ください。
日 時 | 平成14年5月26日(日) 16:00キックオフ(13:00開場予定) |
場 所 | 県営紀三井寺公園陸上競技場 |
入場料 | メインスタンド席 5,500円 メインスタンド横席 4,500円 バックスタンド席(芝生席を含む) 4,000円 サイドスタンド席 2,000円(小中学生は1,000円) |
販 売 | 県内オークワ各店 チケットぴあ テレビ和歌山 |
問合せ | 和歌山県キャンプ支援委員会 |
キャンプに関するお問い合わせは、和歌山県キャンプ実行委員会へ。
2002 FIFA World Cup Korea/Japanは、2002年5月31日から6月30日にかけて日本と韓国で開催された17回目のサッカーFIFAワールドカップ。アジアで初めて行われた大会で、初の2カ国共同開催という大会でもありました。
2002 FIFAワールドカップ - Wikipedia
大会参加国の日本国内におけるキャンプ地については、各地の自治体で猛烈な誘致合戦が繰り広げられましたが(詳細は上記Wikipediaの記事を御覧ください)、和歌山県ではデンマークのキャンプ地を誘致することに成功しました。この経緯について、和歌山県の仁坂吉伸知事は、「その意思決定の背景に、同朋クヌッセン氏の偉業を忘れない和歌山という地への好意があったのではないかと私は推測しています」と述べている。
ようこそ知事室へ
知事からのメッセージ 平成24年4月
クヌッセン機関長とサッカー昭和32年2月10日紀伊水道の美浜町沖で火災を起こした徳島県の機帆船の乗組員を救助するため、折から通りかかったデンマーク船エレンマースク号の機関長であったヨハネス・クヌッセン氏が嵐の海に飛び込み、もう少しという所で力尽きて、落命しました。氏の遺体と救命艇が翌朝日高町に流れ着きました。美浜町と日高町の方々は、この立派な行為を悼んで、美浜町に顕彰碑を、そして日高町に供養塔と救命艇の保管庫を作って、ずっとその遺徳を讃えています。供養塔には、近くの田杭地区の方々が毎日のようにデンマーク国花のキンセンカを手向けてお参りをして下さっているのです。また、二階俊博衆議院議員はじめ有志の方々がクヌッセン氏の生家を訪問したりして、段々とこの義挙は日本とデンマーク両国の友好の絆となりつつあります。
私はクヌッセン氏の偉業は本当に立派なことだと思いますが、それをいつまでも忘れないで讃え続ける両町の方々もとても立派だと思います。ちょうどエルトゥールル号の悲劇の時の串本町民が立派であるとともに、教科書に載せ続けてずっとこれを讃えるトルコの国民も立派であるのと同じです。
やがて2002年になり、日韓ワールドカップサッカーの時、デンマーク・ナショナルチームは和歌山をキャンプ地に選んでくれました。その意思決定の背景に、同朋クヌッセン氏の偉業を忘れない和歌山という地への好意があったのではないかと私は推測しています。そしてまた今度は、このキャンプがきっかけになって、和歌山市を中心に、「和歌山ローリガンズ」というデンマークを応援するサッカー愛好会が出来、それがまた新たな日本・デンマークの友好関係を強化しつつあるのです。私もこのような「恩を忘れない」和歌山県民の1人として、この夏県民の皆さんとクヌッセン氏の故郷に慰霊に行ってみようかと思っています。
ようこそ知事室へ 知事からのメッセージ 平成24年4月 クヌッセン機関長とサッカー | 和歌山県
クヌッセン機関長の義挙については当ブログでも美浜町の「上人穴」を紹介した際に後段で言及していますが、この勇敢な行動は国会でも取り上げられ(昭和32年2月19日 参議院運輸委員会)日本政府から勲五等双光旭日章を贈られたほか、小学校の国語の教科書の題材にもなるなど、当時は全国的に大きな話題となった出来事でした。
上人穴 ~美浜町三尾~ - 生石高原の麓から
デンマーク代表チームのキャンプ地となった紀三井寺公園陸上競技場には、これを記念したモニュメントが建立されています。
なお、クヌッセン機関長の物語とワールドカップを通じたデンマークとの交流については、(財)和歌山社会経済研究所主任研究員の谷奈々氏が、同研究所の機関誌「21世紀わかやま Vol.60(H22.1月)」において「デンマークの貨客船機関長クヌッセンと和歌山」と題したレポートを掲載されていますので、興味のある方はこちらもご参照ください。
和歌山社会経済研究所 | レポート