生石高原の麓から

和歌山の歴史・文化・伝承などを気ままに書き連ねています

まことちゃん像(橋本市古佐田 橋本駅)

 「和歌山あれやこれや」のカテゴリーでは、和歌山県内各地に伝わる歴史や伝承などを気ままに紹介していきます。

 

 今回は橋本市古佐田の橋本駅(JR、南海)前にある「まことちゃん」を紹介します。

 

 「まことちゃん」と言えば、楳図(うめず)かずおの代表作とも言えるギャグ漫画で、「週刊少年サンデー」に1976年から1981年まで連載されていた作品です。今の子供には馴染みがないかもしれませんが、「グワシ」「サバラ」「マッチョメ」など、この作品発の流行語が頻出する大人気漫画でした。
まことちゃん | 少年サンデー

 

 この作者の楳図さんは、「まことちゃん」のようなギャグ漫画のほか、「漂流教室」「わたしは真吾」「14歳」などのSFテイスト溢れる作品、「猫目小僧」「へび少女」などの恐怖漫画など、幅広いジャンルの作品を手がけています。
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 また、自らバンド活動を展開したり、郷ひろみ近田春夫の楽曲の作詞を手がけたりと音楽関係の活動を行ったこともあります。一時期はテレビのバラエティ番組に精力的に出演していたこともあったので、赤白のボーダーのシャツを着ている姿を見たことのある人も多いでしょう。

 あるいは、楳図さんが東京・吉祥寺に建築して奇抜なデザインの建物、通称「まことちゃんハウス」が近隣住民から「色彩の暴力」であるとして裁判を起こされた、という事件を思い出す人がいるかもしれません。
楳図かずお、廃墟目前「まことちゃんハウス」がグワシ復活!【写真アリ】 | 日刊大衆

 

 漫画家としては、平成7年(1995)に完結した「14歳」を最後に一切作品を発表していませんでしたが、令和4年(2022)、27年の沈黙を破って「楳図かずお大美術展(東京:1/28~3/25 大阪:9/17~11/20)」の会場で新作「ZOKU-SHINGO」が発表され大きな話題を呼びました。

www.nikkan-gendai.com

 

 さて、そんな楳図さんですが、本人のプロフィールでは「高野山生まれ」と紹介されています。本籍地は奈良県五條市だそうですが、昭和11年(1936)、当時としては比較的医療環境の良かった高野山でお母さんが出産したようです。
 お父さんは小学校の教員で、楳図さんが幼少の頃は奈良県の山間部を転々としていたそうですが、6歳からは五條市に定住するようになり、東京へ出て行く27歳まではそこで過ごしたため、一般的には「高野山生まれ、五条育ち」として紹介されることが多いようです。

 その頃、楳図さんは五條市に隣接する橋本市へもしばしば出かけていたそうで、Wikipediaによれば、そんな関係から一時は橋本市の広報誌に「オテンバ日記」という4コママンガを載せていたこともあるそうです。
楳図かずお - Wikipedia

 

 こうした縁もあって、平成14年(2002年)に橋本市で駅前商店街の活性化をめざした「駅前一番計画」が立ち上がった際に、「チャレンジショップ事業」オープニングイベントのゲストとして楳図さんを招待しました。そして、その際に駅前へ「まことちゃん」の設置をお願いしたところ快諾を得られたことから、後にこの像が建てられたということです。

wakayama.mypl.net

 上記リンク先の記事で紹介されている橋本市商工会議所豊澤康範氏の話によると、このまことちゃん像の足元にあるカレンダーは、特定の誰かが役割として日付を変更しているのではなく、「街の誰か」が毎日日付を変えてくれているのだそうです。それだけ、この「まことちゃん」が市民の生活に定着しているということなのでしょうね。