生石高原の麓から

和歌山の歴史・文化・伝承などを気ままに書き連ねています

03復刻&解説「紀州 民話の旅」-19由良町

白崎むかしばなし ~由良町大引~

白崎の海辺は白い。それまで、くねくねとした狭い道を、手に汗しながらハンドルを切ってきたドライバーの眼に、氷山のような、真っ白な岩が飛び込んでくる。海面にそびえたつ白い巨岩。紺碧の海との、みごとなコントラスト。

由良のお天気博士 ~由良町網代~

漁を左右する大きな要素に、お天気の見きわめがある。「波はあっても、この風はおさまる」「いまはないでいるが、夜明けにはシケてくる」などという読みが大切なのだ。由良の漁師たちが、天性のように海の気候をピタリと当てられるのは、この地方に伝わる「…

五右衛門と天狗 ~由良町門前~

その昔、五右衛門という大男がいた。大泥棒の石川五右衛門と同名だけあってか、めっぽう負けん気が強く、イノシシを射つのが三度の飯よりも大好き。あるとき、山ヘイノシシ狩りに行ったが、その日に限って一頭も仕止めることができない。イライラしながら山…

室町幕府第15代将軍 足利義昭と興国寺

(「紀州 民話の旅」番外編) 前項、前々項で由良町の興国寺を紹介したが、同寺には、天正2年(1574)、室町幕府第15代将軍である足利義昭が移り住んでいる。義昭は、その前年に行われた「槇島城の戦い」で織田信長に敗れたことから、京都を追放されたのであ…

開山の天狗 ~由良町門前~

由良町門前の「開山興国寺」。尺八を吹きながら、全国を托鉢して回る虚無僧の本山として広く知られているが、森閑とした境内にたたずむと、「沢山の天狗がすんでいた」という古くからの話が、いかにも現実味をおびてくる。

天狗の建てた寺 ~由良町門前~

虚無僧の本山として知られる。尺八、金山寺みそ、しょうゆの元祖寺ともいわれる興国寺だが、かつては何度も火災にあい、そのたびに壇家や村人たちは途方に暮れていた。