03復刻&解説「紀州 民話の旅」-11かつらぎ町
「中野池」「弘法池」ともいう涙池は、飯盛山(標高888メートル)の中腹にあった。恋に破れた雌竜の涙の跡という、奇想天外なこのお話は、スケールが一段と大きくなる。
遍照寺の収蔵庫に大切に保存されている鬼女の面には、角が一本欠けている。その面が、いつごろから遍照寺にあるものなのか、だれも知らない。
高野山に「貧者の一灯」という話が残る。千年杉に囲まれた奥の院灯篭堂の、入って正面右手。高さ1メートル、直径50センチばかり。 献じたのは、和泉国坪井の里(現、岸和田市)の農家の一人娘、お照。両親の菩提を弔おうと、丈なす黒髪を売り払い、ようやく…
柿畑が続いていた道の両側は、いつの間にかスギとヒノキ林に変わっていた。その道が急カーブを切り、急坂をいくつも越えるところ、それらの林は、みごとな緑の波を打つようになる。 赤士がむきだしになった切り通しを過ぎたとたん、視界がひらけた。天野の里…
国道24号線から南へ少し入ったところに、小さな森がある。夜叉田の森(杜)。 むかし、中国に玉藻前(たまものまえ)と、夜叉田姫という仲のよい女の神さまがいた。
那賀町との境界あたり。紀の川の流れに立ちはだかるように、大きな島がひとつ。「舟岡山」という。