生石高原の麓から

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怪力悪四郎 ~中辺路町(現田辺市)大内川~

 昔、十丈峠に、カが強く、とんちにたけた悪四郎という男がいた。

 

 ある日、田辺へ出て行き「わしの家は山十丈あり。裏のヨモンの木には、ブンブの鳥が止まっている」と話した。人々は「どんな立派な家に住み、ブンブの鳥とはどんな鳥なのか」と熊野詣での途中、立ち寄った。すると、山十丈というのは山の名前。ヨモンの木はヨモギ、ブンブとはハエだとわかって、あ然とした。


 また、悪四郎の母が「街道を越えて来た米は永持ちがしない」とこぼしているので、田辺から山を越えて米を運び「街道を通らなかったので永持ちするぞ」といったとか。


 カが強く、太い松の枝を強引に下に降ろして腰をかけ、数人が並んで腰をかけたところで立ち上がり、枝のはね返るカで皆をはじき飛ばしたともいう。享保7年の熊野道中記に「昔、十丈四郎という者住めり」と記され、ちかくに悪四郎山がある。

 

(メモ:悪四郎山(標高800メートル)は、十丈峠(644メートル)の南3キロ。十丈峠は高原から近い。)

 

熊野古道の十丈王子の近くに「悪四郎屋敷跡」の看板がある。屋敷跡から悪四郎山の山頂まで約30分。

 

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本ページの内容は、昭和57年に和歌山県が発行した「紀州 民話の旅」を復刻し、必要に応じ注釈(※印)を加えたものです。注釈のない場合でも、道路改修や施設整備等により記載内容が現状と大きく異なっている場合がありますので、ご注意ください。