生石高原の麓から

和歌山の歴史・文化・伝承などを気ままに書き連ねています

WIXAS Meet The World '97 in 和歌山ソレイヨン(1997.8.16)

 「イベント回顧録」のカテゴリーでは過去の個人サイトに載せていたイベントの記録などを再掲しています。

 

 今回は、平成9年(1997)に和歌山マリーナシティで開催された「WIXAS Meet The World」というイベントの記録です。

 

 「WIXAS」は「和歌山県国際交流協会Wakayama International eXchange ASsociation)」の略称で、和歌山県内における国際交流活動の促進や、県内在住外国人への支援の推進などを目的として平成2年(1990)に設立された団体です。
WIXAS|公益財団法人 和歌山県国際交流協会 Wakayama International Exchange Association

 

 現在、和歌山県国際交流協会は県が開設した「和歌山県国際交流センター和歌山市手平 和歌山ビッグ愛 8F)」の指定管理者として様々な活動を行っていますが、このイベントが行われたのは同センターの開設前であり、まだ和歌山県庁内に事務局が置かれていた時代です。それでも、県内における国際交流の機運を高めようとこうしたイベントが継続的に実施されていました。
和歌山県国際交流センターの概要 | 和歌山県

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WIXAS Meet The World '97 -Shake Your Body-
みんなで歌おう! 踊ろう!!
in WAKAYAMA SORAYON


 平成9年8月16日、和歌山マリーナシティで開催中の「和歌山ソレイヨン」の会場で、財団法人和歌山県国際交流協会(WIXAS)主催の国際交流イベント「Meet The World '97 -Shake Your Body- みんなで歌おう! 踊ろう!!」が開催されました。
 これは、県内在住の外国人の方々に母国の歌や文化を紹介していただき、一緒に歌い、一緒に踊ることによってさらに異文化理解を深めてもらうために開催されたもので、昨年の「和歌山サマーイルミネーション」でのイベントに続き2度目の開催となります。
 今回は、和歌山ソレイヨンのイルミネーション・オブジェを背景にしたステージの上で、「アース・ファンタジー」のショーをはさんで約1時間半にわたって楽しいイベントが繰り広げられました。

 それでは、例によって写真レポートをお届けします。

 

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世界リゾート博3周年記念イベント
和歌山ソレイヨン WAKAYAMA SORAYON

 和歌山市の沖に浮かぶ人工島「和歌山マリーナシティ」では、平成6年に「ジャパンエキスポ 世界リゾート博」が開催されました。その剰余金で運営されている「財団法人世界リゾート博記念財団」では、博覧会を記念して毎年マリーナシティを会場として光をテーマにしたイベントを開催しています。
 平成7年には「和歌山ルミナリエ」、平成8年に「和歌山サマーナイトイルミネーション」と続いたイベントは、今年「和歌山ソレイヨン」として8月8日から8月24日までの間開催されています。

 「レイヨン」とは、フランス語で音(son)と光線(rayon)を組み合わせたもので、フランスから日本に初上陸した光のオブジェとレーザー光線、ムービングライトを組み合わせた新しい形のファンタジーショーです。オブジェは、円錐4体(直径8m、高さ10m)、球体3体(直径6m)、ピラミッド1体(高さ12m)の計8体で、ここに照明やレーザー光線で様々な幻想的な光景を映し出します。

 また、音楽プロデュースをオカリナ奏者として有名な宗次郎氏が担当しているのも注目です。

 

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 最も暑さがつのるお盆のこの時期、夕涼みを兼ねて多くの人々が会場を訪れました。出演者の友人達か、外国人の姿が非常に多いのが、この夜の特徴でした。

 

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 今回のイベントのために全面的に協力していただいた和歌山県立和歌山商業高校ブラスバンド総勢46名の皆さん。
 開会のファンファーレに続き、オープニング曲の「アジアの純真」をはじめ、各出演者の歌の伴奏を行っていただきました。

 

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和歌山県中国山東との友好提携に基づいて、技術研修生として来県し、現在すさみ町の県畜産試験場で研修に励んでいる 董 伝河 さんは喜納昌吉の「」を中国語で歌ってくれました。この歌は中国でも大ヒットしているということです。このほかに、「北国の春」や「四季の歌」なども中国ではよく知られているそうです。
 ふるさとに関するクイズとして、「手紙」という漢字は、中国語ではいったいどんな意味でしょうか、という質問が出ました。さて、ご存じですか?
 正解は「トイレットペーパー」だそうです。

 

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 イギリス出身で、現在英語指導助手として学校で活躍しているジュリア・マフィー(左端)がリーダーとなって歌ってるのはスコットランド民謡「オールド・ラング・ザイン(久しき昔)」です。
 スコットランドでは、新年を迎えて懐かしい友とともに腕を組みながら大声で歌い続けるという伝統的な歌ですが、実は日本人にとっても非常に親しみやすいメロディーです。
 実は、日本の代表的な別れの歌である「蛍の光」。この原曲はなんと「オールド・ラング・ザイン」なのです。明治時代に唱歌として現在の日本語の歌詞がつけられたものですが、イギリスでは再会の歌、日本では別れの歌と全く正反対の意味になっているのが大変興味のあるところです。

 

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 こちらはウェンディ(左端)率いるアメリカ民謡チーム(^^;。歌うは「Oh My Darling Clementine」と「Row Roew Your Boat」。「オーマイダーリン・クレメンタイン」が「雪山賛歌」の原曲であるというのはよく知られた話でしょうか。
 とはいうものの、実はこのチームはウェンディ以外は全てオーストラリア人。ある意味では日本人がアメリカで韓国民謡を歌うようなものであるとも言えます。
 しかし、みな同じ英語という母国語を使うもの同士であり、やはり共通点も多いことから、この後イギリス・アメリカ・オーストラリアの3か国のメンバーが一緒に「She'll be coming around the mountain when she comes」という歌を合唱しました。

 

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 昨年に続き、今回も バンダ・カイピ(BANDA CAIPI)の皆さんが出演してくれました。普段は大阪や神戸を中心にサンバのライブを行って人気のバンドだそうですが、今年はダンスチームも同行し、ダンスの練習も行いました。
 観客に外国人が多いこともあり、サンバの音楽が流れ始めるとステージ前に大勢の観客の皆さんが飛び出してきて、ステージの上も下もすっかりサンバに酔いしれることとなりました。
 「やっぱり、サンバはいいねぇ」という声が観客の中からも上がるほど盛り上がったステージでした。

 

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 サンバで盛り上がった後はエンディング、今日出演した人々をはじめとする県内在住の外国人がそれぞれの国旗を持ってステージに上がる中、全員で「小さな世界 It's a Small World」を合唱しました。
 ミッキーの耳と花をつけて舞台上で楽しそうに歌い、踊った 山本真司さん、南出孝さん、ご苦労様でした。

 

VIVA! VIVA!! SAMBA!!!

 まあ、あんまり堅い話もなんなので(^^;、ここでちょっとサービスカット。バンダ・カイピのダンスチームの皆さんを紹介しましょう。でも、やっぱりサンバの楽しさは現場でなければ伝わらないんですけどね・・・。

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 上記の記録にもあるように、この「和歌山ソレイヨン」というイベントは平成6年(1994)に和歌山マリーナシティで開催された「世界リゾート博」という地方博覧会のメモリアルイベントとして開催されたものです。
 世界リゾート博は72日間の会期中に約294万人の入場者を集め、主催組織である世界リゾート博協会では30億円超の剰余金を計上するなど、当時の地方博としては異例とも言える大成功をおさめました。和歌山県では、この剰余金を活用して県内の中学生を毎年ヨーロッパへ語学研修等に派遣する事業を大々的に実施したほか、会場となった和歌山マリーナシティでは毎年メモリアルイベントを開催することとなったのです。(最終的に、剰余金の残金は平成11年(1999)に開催された「南紀熊野体験博」の財源として再び活用されました)
世界リゾート博 - Wikipedia

 

 そして、世界リゾート博のメモリアルイベントとして最初に開催されたのが、「光の回廊 ルミナリエ in 和歌山マリーナシティ」でした。今でこそ「ルミナリエと言えば神戸」というイメージが定着していますが、実は、最初に「ルミナリエ」というイベントが開催されたのは和歌山マリーナシティであったのです。
 「世界リゾート博」、「ルミナリエ」、「南紀熊野体験博」と和歌山県に関わる重要なイベントに関わってこられたイベントプロデューサーの茶谷幸治氏が、ご自身のブログにおいてこれらの経緯について記されていますので、下記にその一部を抜粋させていただきます。

和歌山と神戸のルミナリエ
ルミナリエは和歌山から神戸へ行った

1995年1月17日阪神淡路大地震

 1994年の夏に「世界リゾート博」は、目標の2倍という入場者を得て余剰金をたっぷり抱えて終了しました。余剰金30億円。さて何をするか。そこで茶谷は南イタリアの夏の宗教行事である「ルミナリエ」の誘致を提案したのです。ルミナリエは、旅行雑誌の小さな記事を電通の藤野さんがたまたま見つけて興味を覚え、経営企画センターの社員であった今岡くんに紹介したものです。茶谷は今岡くんにイタリアの現地調査を命じて資料を集めていました。和歌山でリ博1周年として開催することが決まったあと、茶谷と藤野さんは南イタリアでの調査を経て準備を進めていました。そこへ、翌年1月の大地震。幸にも和歌山に被害はなく、イタリアから資材を輸入して夏の10日間「和歌山ルミナリエ」を開催することができました。

 

和歌山ルミナリエ
 会場は「世界リゾート博」の跡地です。「光の回廊」とうたったものの、正直言って、イタリアのバーリやナポリで観たときの印象とは大きく違っていました。広場に組み立てられた電飾アーチは、見事であったけでど、都市空間に溶け込むことがなく、宗教的な厳粛性もなく、物足らなく思ったのです。
 そこへ、大地震の後、明かりの消えてしまった神戸にこの光のアーチを持ち込みたい、という電通の松下常務の意向が伝わりました。それが「神戸ルミナリエ」のきっかけです。

 

神戸ルミナリエ
 「神戸ルミナリエ」は、和歌山のものをデザインを一新して、大地震の年の12月に旧居留地で展開することになりました。秋から準備を始めましたが、神戸市は地震からの復興に全精力を費やしており、私が道路使用許可を要請に行っても誰も取り合ってくれません。かろうじて「アーバン(筆者注:1993年に開催された「アーバンリゾートフェア神戸’93」のこと)」のときの人脈で口頭での許可を得て建設を始めました。電源設備を設置するためにベトナム領事館跡地の使用許可を、当時大阪に臨時移転した大使館に掛け合ったときも、口頭の許可でした。「神戸ルミナリエ」は、テスト点灯では漏電してショートするなど、すったもんだで始まったわけです。

(以下略)

和歌山と神戸のルミナリエ of 茶谷幸治のホームページ

 

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和歌山県広報誌「県民の友」平成7年(1995)7月号