「南紀熊野体験博の記録」のカテゴリーでは、過去の個人サイトに掲載していた記事のうち、「JAPAN EXPO 南紀熊野体験博(1999.4月~9月)」に関するものを再掲していきます。
今回の記事は、南紀熊野体験博の一環として開催されることとなった「世界リゾート博5周年記念イベント」の紹介です。
「世界リゾート博」は、和歌山浦湾に造成された人工島「和歌山マリーナシティ」で平成6年(1994)7月16日~9月25日の72日間開催された、いわゆる「地方博覧会」です。南紀熊野体験博と同様に国の特定博覧会制度(ジャパンエキスポ制度)に認定されたイベントで、正式名称は「ウェルネスWAKAYAMA JAPAN EXPO 世界リゾート博」といいます。
当初は入場者数100万人を目標としていましたが、会期が始まるとリピーターが続出するようになり、結果的には294万人もの入場者を集めて空前の大成功を収めたと評価されました。
南紀熊野体験博が開催された平成11年(1999)はこの世界リゾート博からちょうど5年目の節目にあたる年となったので、南紀熊野体験博では「世界リゾート博5周年記念イベント」と銘打って「ワールド・アクション・カーニバル」と「くまのの森の音楽祭 ヒーリング・フォレスト'99」という2つのイベントを開催することになりました。
なお、ここで「世界リゾート博5周年」という看板を掲げた背景には、世界リゾート博で得られた剰余金の有効活用という側面もあったのですが、その点については若干後段で触れておきたいと思います。
平成6年に開催された「世界リゾート博」5周年記念イベントの内容が発表されました。
世界リゾート博の記念イベントは、平成7年に「和歌山ルミナリエ(神戸より前に和歌山でやったんですよ)」を開催して以来、平成8年「和歌山サマーナイトイルミネーション」、平成9年「和歌山ソレイヨン」、平成10年「和歌山マリンファンタジー」と、リゾート博会場であった和歌山マリーナシティを舞台として行われてきましたが、今年は「南紀熊野体験博」の田辺新庄シンボルパークで行われることになりました。※
今回のイベントは、「ワールド・アクション・カーニバル」と「くまのの森の音楽祭 ヒーリング・フォレスト'99」の二本立てで行われます。以下は、両イベントについてのプレス発表内容です。
世界リゾート博5周年記念イベント
体験・チャレンジ!
ワールド・アクション・カーニバル
■開催場所
南紀熊野体験博・田辺新庄シンボルパーク緑の広場
■開催期間
平成11年4月29日(祝)~5月9日(日) 11日間
■開催時間
○テントステージ(公演時間 1回約90分)
1日3回公演(12:00~/15:00~/18:00~)
○屋外アクション体験
1日2回程度予定(公演の始まる前もしくは終了後、公演の間)
○チャレンジアクション
11:00~17:00
■入場方法
整理券を発行(入場料無料)
(当日、田辺新庄シンボルパーク内で配布します)
■開催槻要
「光と音のファンタジー」とあいまって、世界各国のアーティストが繰り広げる感動のエンターテイメントショー。約1600人収容のテントステ-ジで、熱気溢れる豪華で多彩なアクションを展開します。さらに観客が参加できるアクロバットなどもあり、迫力満点。世界の妙技を実際に体感していただきます。
また、屋外の「緑の広場」では、公演メンバーがトランポリン等を楽しく指導。
今話題のストラックアウトやジャンボだるま落としも常設し、「体験・チャレンジ」の一日を堪能していただきます。
くまのの森と共に奏でるスペシャルライブコンサート
世界リゾート博5周年記念イベント
くまのの森音楽祭 Healing Forest '99
■開催場所
南紀熊野体験博・田辺新庄シンボルパーク野外音楽堂
■開催期間
平成11年4月29日(祝)
5月3日(祝)~5日(祝)
5月8日(士) 計5日間
■開演時間/出演者
○4月29日(木)16:30 開演
出演:◇宇崎竜童プロジェクト
○5月 3日(月)16:30 開演
出演:◇鈴木紗理奈
○5月 4白(火)18:00 開演
出演:◇姫神
○5月 5日(水)
1回目
12:30 開演
出演:◇紙ふうせん
13:00 開演
出演:◇NHKおかあさんといっしょ
「ドレミファ・ど~なっつ劇場」
2回目
15:00 開演
出演:◇紙ふうせん
15:30 開演
出演:◇NHKおかあさんといっしょ
「ドレミファ・ど~なっつ劇場」
○5月 8日(土)16:30 開演
出演:◇宮川彬良 ゲスト/久野綾希子
■入場方法
整理券を発行(入場無料)
※5月5日の2回公演に関しては入れ替え制とする。
■開催内容
様々なアーティスト達が、「南紀熊野体験博」のオープニングを飾るペくスペシャルライブコンサートを5日間繰り広げます。
※上記の記事は1999年3月に個人のWebサイトに掲載したものを再掲しました。
※注:この年は和歌山マリーナシティでも世界リゾート博5周年記念イベントとして「和歌山サマーレジェンド」を開催しています。和歌山サマーレジェンド(1999. 8.14) - 生石高原の麓から
前段で書いたとおり、世界リゾート博は当初想定の3倍近い294万人もの観客を集めた結果、主催者の「世界リゾート博協会(和歌山県・和歌山市を主体とした運営組織)」は最終的に30億円余の剰余金を計上することとなりました。(和歌山県議会の議事録によれば30億6,400万円 平成7年2月 和歌山県議会定例会会議録 第8号(全文) | 和歌山県議会)
当時の仮谷志良和歌山県知事は、「この剰余金は大事に取っておくのではなく、和歌山県の将来の発展に役立つ事業のために惜しみなく使うべきである」と関係者に進言したと伝えられており、剰余金管理を主な目的として設立された「世界リゾート博記念財団(現在は解散)」によって各種の事業に活用されることとなったのです。その中で最も有名なのが県内の中学生300~400人をヨーロッパに派遣して国際的な視野を身につけてもらおうとする「和歌山県中学生海外研修事業 テイクオフ21(1995年度から5年間実施)」ですが、このほかに、毎年8月に世界リゾート博の会場となった和歌山マリーナシティにおいて「世界リゾート博記念イベント」としてイルミネーションなどのイベントを開催していました。
こうしたイルミネーションイベントの第一回として平成7年(1995)に開催されたのが上記本文中にも登場する「光の回廊 ルミナリエ in 和歌山マリーナシティ」で、後にこの機材が神戸へ運ばれて阪神淡路大震災の鎮魂のためのイベントとして現在まで受け継がれていくことになるのですが、これについては別項「WIXAS Meet The World '97 in 和歌山ソレイヨン」において詳述していますので、こちらをご覧ください。
和歌山サマーレジェンド(1999. 8.14) - 生石高原の麓から
南紀熊野体験博のオープニングを飾る2つのイベントが「世界リゾート博5周年記念イベント」という冠のもとで開催されたのは、その財源の多くがリゾート博の剰余金で賄われたという懐事情があったわけですが、いずれにせよこの時期にはこうした形で剰余金を用いた事業が継続的に実施されていましたので、同博の正当な後継者(ともに JAPAN EXPO のに認定を受けた地方博覧会)である南紀熊野体験博がその財源を活用することはしごく当然であったと言えるでしょう。