「南紀熊野体験博の記録」のカテゴリーでは、過去の個人サイトに掲載していた記事のうち、「JAPAN EXPO 南紀熊野体験博(1999.4月~9月)」に関するものを再掲していきます。
今回の記事は、田辺市と那智勝浦町に設けられた2つの「シンボルパーク」に開設されるパビリオン「テーマ館」と同パーク内で会期中常時実施される「常設型イベント」の概要、加えて白浜空港と本宮大社、紀伊勝浦駅を結ぶ特急バス「熊野古道スーパーエクスプレス」に関する話題です。
テーマ館と常設イベントの概要が決定しました。
田辺新庄シンボルパーク
テーマ館 「森の飛行船 体感シアター」
熊野の森の魅力と、和歌山県全般の情報を発信するための拠点です。熊野の森の魅力を展示や映像を交えながら紹介し、「豊かな森」という新たなリゾートの世界へ観客を誘い込みます。
テーマ館は三つのゾーンで構成されています。
●こころの森
熊野の森を主題に、映像、音響で演出を施し、木漏れ日の再現や、香りのする木や熊野の動植物の生態紹介などを通じて、体験型の学習を楽しめます。メッセージゾーンでは、テーマストーリーの作者ジョン・バーニンガムの作品も紹介しています。
●森の飛行船フォレスト号
「こころの森」に横たわる飛行船の形をしたモーションライドシアターです。飛行船「フォレスト号」に乗り、熊野の森のバーチャル飛行に旅立ちます。飛行船から熊野の自然を見ることにより、自然環境への関心が高められます。
●総合情報センター(仮称)
「こころの森」や「森の飛行船フォレスト号」で紹介された南紀熊野地域への関心を、より現実的なものへと結びつけていきます。和歌山県の四季折々の魅力を映像でつづった「立体歳時記」や、「観光イベント紹介コーナー」「熊野古道とサンティアゴへの道コーナー」、記念モニュメント「鐘」の展示と映像案内などが行われます。
常設型イベント
野外音楽堂では、熊野の森を舞台として人と自然の共生をテーマとした華やかなエンターテイメント「森のフェアリア」を実施します。光ファイバーのきらびやかな衣装をまとって光の妖精(フェアリー)に扮したダンサーが熊野の時空を越えて駆け巡り、熊野の四季、森の息吹、太古からの歴史、人との交わりなどを軽やかな踊りで表現します。さらに舞台上の2基のマルチスクリーンをはじめ、音・光など様々な特殊効果を用いた演出によってファンタジックなショーを展開します。
那智勝浦シンボルパーク
テーマ館 「南紀熊野くろしおエキスプレス1999」
南紀熊野地方の歴史、文化、自然、祭りなどを通じて、南紀熊野の大自然が持つ魅力が次世代へ継承されるよう訴えていきます。
博覧会では初登場となる「3Dヘッドギア・モーションライド」を採用し、迫力ある3D映像と、動きのあるライドの組み合わせで南紀熊野の自然とリゾートを体験することができます。
キャラクター制作には、「宇宙戦艦ヤマト」の作者として知られる漫画家の松本零士氏を起用しています。これは、氏のもう一つの代表作である「銀河鉄道999」が1999年に結びつくことから実現したものです。
総合情報センター
南紀熊野体験博のイベント情報や各市町村に関する情報を、インターネットなどを通じて発信します。
常設型イベント
「すべての生命の母なる海」をテーマとして「生命と海のシンフォニー」を実施します。太古から生命をはぐくみ続ける海と人類との関わりを、ステージ上のソプラノ歌手と超大型スクリーンの迫力ある映像との連動により、ダイナミックかつ華やかに表現します。またスクリーン上で大海原を泳ぐ鯨が潮を吹き上げるシーンでは、観客に実際にしぶきが降りかかるような演出を行うとともに、観客席を取り囲む「光の森」を効果的に用いて臨場感あふれるライブショーを展開します。
特急バス 熊野古道スーパーエクスプレスの運行について
南紀熊野体験博の開催に先立ち、特急バス「熊野古道スーパーエクスプレス」が来年、春に登場します.和歌山県特急バス運行補助事業によりリムジンバスクラスの大型バスを導入し、白浜温泉から本宮温泉を経由し勝浦温泉まで、乗り換えなしで行ける特急バスで、来年3月21日の運行を開始する予定です。
速い 本宮まで東京(羽田)から3時間、新大阪から4時間
便利 県下3大温泉を直結 熊野古道ウォークの拠点に停車
快適 関空リムジンバスクラスの大型バス
1 運行回数及び時刻
1日2往復
白浜空港発 10時10分、14時10分
紀伊勝浦駅発 9時10分、14時20分
2 所要時間
白浜空港→(1時間37分)→本宮大社前→(1時間33分)→紀伊勝浦駅
3 主な停留所
白浜空港 ~ 白浜バスセンター ~ 白浜駅
~ 田辺シンボルパーク前 ~ 滝尻
~ なかへち美術館前 ~ 本宮大社前
~ 志古 ~ 新宮駅 ~ 勝浦シンボルパーク前
~ 紀伊勝浦駅
(走行距離 130.3Km バス停 27か所)
4 料金
白浜空港 ~ 本宮大社前 2,600円
白浜空港~新宮駅 3,500円
白浜空港~紀伊勝浦駅 3,900円
(主要区間予定料金)
※上記の記事は1998年12月に個人のWebサイトに掲載したものを再掲しました。
南紀熊野体験博は「オープンエリア型博覧会」を主要コンセプトとしており、「閉鎖的な囲い込み型の会場を持たない」ことが特徴でしたが、それでも従来型の博覧会に馴染んだ来場者にとっては「博覧会と言われてもどこへ行けば良いかわからない」という戸惑いがあると想定されたことから、田辺市と那智勝浦町に「シンボルパーク」として、「在来型の博覧会としての楽しみ方もできる小規模な展示施設」兼「南紀熊野体験博ならではの各種体験イベントの紹介・ゲートウエイ施設」を設けることとしました。
「田辺新庄シンボルパーク」は、田辺市が当時整備中であった都市公園「新庄総合公園」を会場とし、テーマ館を始めとするいくつかのパビリオンと物販や飲食のコーナーなどを設けました。
上記の資料ではテーマ館のみを紹介していますが、結果的にここには「NTTふる里ふれ愛コミュニケー村」、「Panasonicプログレッシブ3Dシアター」、「バーチャルサウンドシアター 森とエネルギーの館」、「紀のみち・道づくり・未知びらきラリー館」という4つのパビリオンが開設されることとなりました。
博覧会終了後に発行された「南紀熊野体験博 公式記録」では、田辺新庄シンボルパークの様子を下記のように紹介しています。
「那智勝浦シンボルパーク」は、JR那智駅に隣接する那智海水浴場と那智公園とを一体化した会場として整備されましたが、当時の那智海水浴場はちょうど「ブルービーチ那智」という愛称を付けて新たな環境整備が進められている時期にあたっていました。
シンボルパーク自体は那智公園の中に、上記で紹介されたテーマ館「南紀熊野くろしおエクスプレス1999」のほか、イベントステージと飲食・物販ゾーンのみを設けた比較的小規模なものでしたが、延長約800mに及ぶ広い砂浜とその先に広がる熊野灘の海そのものを借景とした雄大な景色が魅力の会場となりました。
また「動くパビリオン」として水中展望船「くまリン(水面下に展望室を設けた半潜水型の船)」を運行し、那智公園から乗船場までの約1kmを「シーサイドトレイン 潮風」という機関車型の車両で結ぶなど、自然環境を生かしたアトラクションが大いに人気を集めました。こうした会場の様子について、先述の「南紀熊野体験博 公式記録」では次のように紹介されています。
南紀熊野体験博は和歌山県南部地域全体を会場とするという意欲的な試みでしたが、このエリアの特に内陸部は公共交通機関の整備状況が十分とはいえず、多くの来場者をこの地域へ迎えるためには交通手段の確保が重要なポイントとなりました。上記で紹介された「熊野古道スーパーエクスプレス」はこうした対策の一環として実施された対策のひとつです。
このバス路線そのものは南紀熊野体験博のために整備されたものであり、博覧会終了後はその役割を終えますが、その後、「紀伊半島の霊場と参詣道」が平成16年(2004)に世界遺産登録されたことをきっかけに飛躍的に観光客(特に外国人を含む個人旅行客)が増加したこともあり、現在では明光バス、龍神バス、熊野御坊南海バスの各社が熊野古道周辺のエリアで路線バスの運行を行っています。
詳細は南紀白浜空港のWebサイトに取りまとめられていますので、こちらをご覧ください。
南紀白浜空港 :: 路線バス時刻表