生石高原の麓から

和歌山の歴史・文化・伝承などを気ままに書き連ねています

映画「コンフィデンスマンJP 英雄編」(和歌山マリーナシティ、南紀白浜リゾートホテル)

 「フィクションの中の和歌山」というカテゴリーでは、小説や映画、アニメなどで取り上げられた和歌山の風景や人物などを順次取り上げています。

 

  今回は令和4年(2022)に劇場公開された映画「コンフィデンスマンJP 英雄編」を紹介します。

 この映画の舞台はマルタ共和国マルタ島となっていますが、撮影時期が新型コロナウイルスパンデミックと重なったために出演者の海外ロケが不可能となったことから、和歌山マリーナシティが主要な撮影地となったことで知られています。

 

 

 映画や小説には古くから「コン・ゲーム(con game)」というジャンルがあります。ここでいう「コン」は「コンフィデンス(confidence 信用・信頼)」のことを意味しますが、特に「相手を信用させて金銭などをだまし取る行為を、だます側を主人公として描いた痛快な物語」を指して「コン・ゲーム」と呼ぶことが一般的です。
【ホームメイト】コンゲーム|映画用語集


 「コン・ゲーム」の代表的な作品としては、ポール・ニューマンロバート・レッドフォードが主演した映画「スティング(1973)」やジェフリー・アーチャーの小説「百万ドルをとり返せ!(1976)」などが挙げられますが、今回紹介する映画「コンフィデンスマンJP」はそのタイトルどおり※1まさにこうした作品の系譜に連なる作品であると言えるでしょう。

※1 「コンフィデンスマン」という言葉は、しばしば「信用詐欺師」という意味で用いられる。ちなみに、制作発表の際、同じシナリオで韓国版「コンフィデンスマンKR」、中国版「コンフィデンスマンCN」が企画されていることが伝えられており(実際に制作されたとの報道はない模様)、「JP」は「日本」の意である。コンフィデンスマンJP - Wikipedia

www.allcinema.net

www.shinchosha.co.jp

 

 「コンフィデンスマンJP」は、もともとフジテレビの月曜9時の放送枠(いわゆる「月9」)で放送された連続TVドラマで、ダー子長澤まさみボクちゃん東出昌大リチャード小日向文世という3人のコンフィデンスマン(信用詐欺師)たちが悪徳商法や違法行為などで蓄財した悪党たちから大金をだまし取る、いわゆる「義賊」的な「コン・ゲーム」を行う痛快エンターテインメント作品として人気を博しました。これが好評であったため、後にスペシャルドラマスピンオフドラマが制作・放送されたほか、劇場版映画も「コンフィデンスマンJP ロマンス編(2019)」、「コンフィデンスマンJP プリンセス編(2020)」と2作品が順次公開され、2022年に満を持して公開されたのが今回紹介する「コンフィデンスマンJP 英雄編(劇中では「ザ・ラストコンゲームグランドフィナーレバトルロワイヤル」との言葉が使われているが、これが最終作となるかどうかは不明)でした。

 

 映画そのものについて詳しく紹介することは、この映画の性格上あまり適当ではないと思われますので公式サイトへのリンクを紹介するにとどめておきますが、日本では比較的珍しい正当な「コン・ゲーム」映画ですので、興味のある方はぜひ配信などでお楽しみください。

confidenceman-movie.com


 さて、そんな「コンフィデンスマンJP 英雄編」ですが、前述のようにその撮影が新型コロナウイルスパンデミックと重なったことから映画の制作には相当の困難が伴ったようです。下記のサイトによれば、シリーズ第3作の制作にあたり前作を超えるスケールとするために海外を舞台とすることは決定したものの、大勢のキャストが長期間海外に滞在することは不可能であったことから、キャストの撮影は全て日本国内で行い、背景等は全てCGで合成したということです。

 この度、コロナ禍という映画業界の苦境の中で、最も難しい映画製作への挑戦を記録した特別映像「メイキング・オブ・ザ・コンフィデンスマンJP 英雄編」が解禁。そこには信用詐欺師ならぬ“映像詐欺師”たちによる挑戦が映し出されています。
 もともと、海外での大規模ロケを予定していた本作。しかし2020年に新型コロナウィルスが世界的に大流行し、大規模ロケを断念せざるを得ない状況に。そんな中で迫られた大きな決断。「舞台を日本国内にするか、海外にするか」。 厳しい選択を強いられた制作陣でしたが、「前作を超える詐欺バトルを描く」、その信念から舞台を地中海に浮かぶ世界遺産の島・マルタ島に決定。「英雄編」は最も困難な道のりを歩み出しました。
 そんな「英雄編」の制作の始まりから、撮影の裏側、そしてCG・VFXなどのさまざまな映像技術を駆使し、舞台である“マルタの空間”を作り上げる大プロジェクトの工程までを記録した、今回のメイキング映像には、VFXプロデューサー・高玉亮さんや、田中亮監督のインタビューも収録。
 日本国内の背景をマルタの背景に作り変えた高玉さんは「すべて背景をCGで起こしたいと言われたときは、頭が真っ白になりました」と吐露。自身の経験上でも過去に例をみない挑戦だったと語っています。そして本作のメガホンをとった田中監督は「今回は日本で撮ったものをマルタで撮ったかのように見せられるかという、お客さんとの“コンゲーム”だと思っていたので、制作チームがいかに“映像詐欺師”としての腕があるかどうかを問われる作品だったと思っています」とコメント。「お客さんとの“コンゲーム”に勝てていたらいいな」と笑顔で語りました。

www.fujitv-view.jp

 

 そして、こうした「映像詐欺」の一翼を担ったのが和歌山市の「ポルト・ヨーロッパ」です。平成6年(1994)に開業したこの施設は地中海の港町をモチーフにしたテーマパークで、園内にはヨーロッパの町並みが再現されていることからこれまでも様々な映像作品のロケが行われてきました。

note.com

 

 こうした風景が作品の中でどのように使われていたか、いくつかの具体例を紹介してみましょう。

 

 

 

 

 

 まったく同じアングルの写真はないので少し判りにくいかと思いますが、雰囲気は判っていただけたのではないかと思います。

 

 また、この映画では和歌山マリーナシティ以外に上富田町南紀白浜リゾートホテル(旧:朝日リゾートホテル白浜)でもロケが行われたようです。知名度はそれほど高くないものの、ゴルフ場に併設されておりヨーロッパ風の豪華な設備で知られるホテルですから、今回の映画にはうってつけのロケ地だったのでしょうね。

nicoraiss.blog.jp

nankishirahama-golfclub.com

 

 和歌山マリーナシティ以外にも和歌山県内では様々な映画やCM・プロモーションビデオなどの撮影が行われています。和歌山市のWebサイトでは「和歌山市ロケ地情報」として市内でロケが行われた作品を順次紹介していますので、こちらをご覧頂くと意外な発見があるかもしれませんよ。

www.city.wakayama.wakayama.jp