今回、新たに「フィクションの中の和歌山」というカテゴリーを立ち上げました。
このカテゴリーでは、小説や映画、アニメなどで取り上げられた和歌山の風景や人物などを順次取り上げていきたいと思います。
このカテゴリーで最初に取り上げる話題として適当かどうかはよくわかりませんが、今回は美浜町にある「AIRの聖地」を紹介することとします。
2017年5月18日付けの産経新聞のニュースサイトに「「AIR」の舞台・和歌山県美浜町、世界が選ぶ「日本のアニメ聖地150」選出」という記事が掲載されています。それほど長い記事ではないので以下に全文を引用します。
一般社団法人「アニメツーリズム協会」が実施した海外のアニメファンたちが投票で選ぶ「訪れてみたい日本のアニメ聖地150」に、人気ゲーム・アニメ「AIR」の舞台といわれている和歌山県美浜町が選ばれた。
同協会は、出版大手「KADOKAWA」(東京都千代田区)や旅行業界大手「JTB」(東京都品川区)など5社を中心に、昨年9月に設立。「四国八十八ケ所」にならい、アニメの聖地を88カ所選定するなどして聖地巡礼を盛り上げ、観光客誘致や地域活性化を図ることを目的としている。
同協会では、ウェブサイトなどで日本語のほか、英語や中国語など6言語で投票を実施。このうち、「訪れてみたい日本のアニメ聖地150」は、海外ファンからの計5万票以上の投票結果をもとに同協会が選び、今春発表した。
「AIR」は、ゲーム制作会社「ビジュアルアーツ」(大阪市北区)が平成12年にゲームを発売、17年にアニメ化された。人形遣いの少年が旅先の町で出会った少女との恋愛や家族愛を描き、シナリオや主題歌が人気を博した。
舞台となった地は公式には発表されていないが、ファンの間で同町の煙樹ケ浜や御崎神社などが話題となり、聖地として親しまれるように。同町以外にも兵庫県香美町などに聖地があるが、「美浜町を挙げる人が多かった」(同協会担当者)として、選ばれた。
さらに、国内ファンの投票分を加えて選ばれる「聖地88カ所」は今夏に発表予定。県内からは、同町のほか、アニメ映画「天空の城ラピュタ」に島の一部が似ていると話題の友ケ島(和歌山市加太)などにも期待がかかる。
同町の笠野和男副町長は「なんとか『AIR』で町を盛り上げたいと思っていたので大変ありがたい。次は88カ所入りを目指し、今後、聖地として盛り上げていければ」と歓迎している。
上記の記事でも紹介されているように、「AIR(エアー)」とは株式会社ビジュアルアーツが平成12年(2000)に発売した恋愛アドベンチャーゲームの名称で、これが大人気となったことから後に劇場映画やTVアニメにも発展していった作品です。
ビジュアルアーツが制作するゲームの多くは「Key(キー)」というブランドで発売されていますが、Keyのゲームは少年少女の恋愛をテーマにしつつもその内容が感動的で泣ける、という、いわゆる「泣きゲー」として知られており、「AIR」はその代表的作品と言われています。もともとはエロチックな表現のある18禁ゲームとして制作されましたが、その後表現を修正した全年齢対象版のゲームが発売され、2005年には劇場版公開、TVアニメ版の放送(BS-i)、スマホゲーム、などと様々な媒体に広がっていきました。
そんな人気ゲーム・アニメの舞台となっている場所が美浜町だというのは俄には信じがたい話ですが、これについてはネット上に様々な検証情報が掲載されており、どうやら間違いのない話のようです。
下の写真は筆者が以前撮影した紀州鉄道西御坊駅から見える風景ですが、検証サイトの情報によればこの風景と瓜二つと行って差し支えない風景がアニメに登場していることは間違いありません。
ここで紹介した「【AIR】聖地巡礼情報を公開!」というサイトは、筆者が確認した時点では最終更新日が2018年となっており、ごく直近というわけではありませんが、それでもアニメが放映された平成17年(2005)からでも13年が経過しているわけで、「AIR」を愛する人々の輪は大変広いものであることが理解できると思います。
和歌山で「アニメの聖地」と言えば、近年では令和4年(2022)に放送された「サマータイムレンダ」の舞台となった友ケ島が一躍有名になりましたが、それより17年も前に放送されたアニメで既に「聖地」が誕生していたのです。