「イベント回顧録」のカテゴリーでは過去の個人サイトに載せていたイベントの記録などを再掲しています。
今回は平成10年(1998)7月に和歌山県内各地で開催された「C.I.O.F.F.アジアこどもフェスティバル」の記録です。
下記の文中にもありますが、C.I.O.F.F.(シオフ)とは International Council of Organizations of Folklore Festivals and Folk Arts(国際民族芸能組織委員会)という団体の略称で、民族文化芸能の継承と振興活動を通じて、国際交流の促進、世界の友好・平和への貢献を図るため1970年にフランスで創設された国際NGO組織です。
※CIOFF日本支部サイト
【CIOFF®️JAPAN】はユネスコ公式諮問機関である国際NGO「CIOFF®️」の日本支部です。
当時の和歌山県は、関西国際空港の開港(1994年)、「JAPAN EXPO 世界リゾート博」の開催(1994年)、テーマパーク「ポルト・ヨーロッパ」の開業(1994年)、多目的アリーナ「和歌山ビッグホエール」の開場(1997年)などを経て、翌1999年には二度目のJAPAN EXPOとなる「南紀熊野体験博」の開催を控えるなど、国際化や大型イベントの波が一気に押し寄せてきた時期であったと言えるでしょう。
こうした中で開催された「C.I.O.F.F.アジアこどもフェスティバル」は、アジア各地の13か国から約200人の子どもたちが来県し、マリーナシティやビッグホエールでパフォーマンスを披露したり、県内各地にわかれてホームステイして地域の同年代の子供達と交流を深めるなど、県民の意識に大きなインパクトを与えるイベントとなりました。
in 和歌山(1998.7.24~30)
平成10年7月24日から31日までの間、和歌山県内各地で「第1回 C.I.O.F.F. アジアこどもフェスティバル in 和歌山」が開催されました。C.I.O.F.F.(国際民族芸能組織委員会)は、各国の民族芸能の紹介活動等を通じて国際理解と交流を進めることを目的として活動しているNPO(非営利組織)で、ユネスコと深い協力関係にあります。
この「アジアこどもフェスティバル」は、C.I.O.F.F.アジア・オセアニア・セクターの加盟各国・地域において、新たな時代を拓く国際文化交流の機会の醸成と、国際社会の相互理解と親善に寄与するために計画されたもので、今回の和歌山での開催を皮切りに、今後アジア・オセアニアの各国で継続的に開催されることになっています。
今回のフェスティバルでは、和歌山ビッグホエール内に特設された「アジアンコロシアム」を舞台として海外13か国・地域から参加した約200名の子供達がさまざまな民族芸能を披露したほか、全国各地から子供達による各種の民俗芸能公演が行われました。また、会場内に設けられた「アジアのHARAPPA」ではアジアのさまざまな遊び道具が並べられ、子供達が実際に体験できるようになっていたほか、各国の生活文化の展示やバザーなどが行われていました。
海外からの参加者は、和歌山市内でホームステイを中心とした交流プログラムに参加した後、7月28日からは国ごとに県内各地の市町村に分かれて、地域ごとに交流行事に参加したり、ホームステイを行ったりしました。
和歌山県では実質的に初めてともいえる大規模な国際交流行事であっただけに、受け入れには色々とトラブルもあったようですが、子供達にとってはアジアの国々を身近に感じる初めての機会であり、色々な場所で小さな国際理解・交流活動が行われていました。こうした経験は、子供達にとって何者にも代え難い貴重な経験であったことでしょう。将来、子供達が成長して社会の担い手になる頃が楽しみです。
以下は、7月23日から27日にかけてこのフェスティバルのスタッフとして参加し、ニュージーランドの子供達と同行した私のミニ・アルバムです。
国・地域名 | 参加団体名 | 演技種類 | 滞在先市町村 |
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オーストラリア | ジャグラ・ジャジャム・アポリジニ舞踊団 | 楽器演奏・舞踊 | 岩出町 |
中国 | 甘粛省黄河こども芸術団 | 舞踊・民謡 | 川辺町 |
インド | ジャナバック(ダルパナアカデミー) | 舞踊 | 中津村 |
韓国 | 水営野遊(スヨンヤユ) | 仮面芸能 | 海南市 |
マレーシア | クアラルンプール・ダンスシアター | 舞踊 | 下津町 |
モンゴル | テムジンこども歌舞団 | 民族音楽・舞踊 | 白浜町 |
ニュージーランド | ワンガヌイ・ア・タラ・マオリ芸術団 | 歌・舞踊 | 御坊市 |
フィリピン | ケソンシティ芸術団 | 舞踊 | 貴志川町 |
スリランカ | サマバレー | 舞踊・打楽器 | 南部川村 |
タイ | タイ・ユース芸術団 | 古典音楽・舞踊 | 橋本市 |
トルコ | イステックビルゲカーンこども民族舞踊団 | 舞踊 | 日置川町 |
台湾地域 | 蘭陽(ランヤン)民族舞踊団 | 舞踊 | 太地町 |
アゼルバイジャンから参加予定の「ジュジャラリン・ロクパタン」は、航空券盗難事故のため、急遽来日が中止になりました。 |
日本人と外国人との交流だけではなく、参加者同士の交流も盛んに行われました。これは、ニュージーランドのグループと記念写真を撮る台湾地域の女の子たちです。可愛いいんですよ、この台湾の子供達が。「サントリーの烏龍茶のコマーシャルを歌ってほしいなあ・・・」と思ったのは私だけじゃないと思うんだけど(^^;
和歌山マリーナシティで「アジアこどもパレード」に参加したニュージーランドの子供達。後ろに見えるのは今年の4月にオープンしたばかりの「和歌山マリーナシティ ロイヤルパインズホテル」です。
和歌山マリーナシティの中にあるミニテーマパーク「ボルト・ヨーロッパ」の中をパレードするマオリの子供達。このテーマパーク内のレストランでは、西サモアの人々がショーを行っていますが、マオリ族は西サモアの人々と同じポリネシア文化に属しているので、言葉も生活習慣も非常に似通っているそうです。このため、パレードを見ていた西サモアの人々から彼らに対して盛んに声援が送られていました。
7月25日に和歌山ビッグホエールで開催された開会式には、外国からの参加者約200名に加えて、県内の少年少女による太鼓、マリンバなどの演奏や合唱、ダンス、マーチングバンドなどが参加し、総勢1,500人以上がアジアンコロシアムを埋めました。
また、東京からはドラえもんとのび太くん、しずかちゃんも特別に参加してくれていました。
7月27日に開催された「アジアのまつり」では、観客の子供達にも舞台へ上がってもらってマオリの踊りを練習しました。日本の子供達はもっとシャイかと思ったのですが、予想をはるかに上回る人数が舞台へ上がってくれました。みんな、こんなイベントを求めていたのかもしれませんね。
ニュージーランドの子供達の年齢は8歳から13歳までということで、日本では小学生にあたりますが、こうした日本の子供達に踊りを教えている光景を見ると、実際の年齢よりも随分お姉さん、お兄さんに見えるような気がします。
国へ帰ってもこの日のことはしっかり覚えていてくれるでしょうか。
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このイベントの開会式が行われたのは、1998年7月25日(土)。奇しくもこの日は、いわゆる「和歌山毒物カレー事件」が発生した日でした。
当初は「夏祭りで食中毒発生」と報じられていたため、翌日も和歌山ビッグホエールに集まった私達は「この会場では食中毒が出なくて良かったね」という話をしていたのですが、週明け頃から「大手のメディアが大挙して押しかけてきてタクシーを片っ端から借り上げていくので、参加国の子どもたちを和歌山マリーンシティまで連れて行くのに大変苦労した」という情報が流れてきて、「もしや大事件では?」という噂が関係者の間に広がりはじめたことを良く覚えています。
その後の展開は有名な話なので割愛しますが、こうした大事件と関係していたという点でも、大変記憶に残るイベントとなりました。