生石高原の麓から

和歌山の歴史・文化・伝承などを気ままに書き連ねています

"Meet the World '98" in 和歌山マリンファンタジー(1998.8.14)

 「イベント回顧録」のカテゴリーでは過去の個人サイトに載せていたイベントの記録などを再掲しています。

 

 今回は、平成10年(1998)に和歌山マリーナシティで開催された「和歌山マリンファンタジー」というイベントと、そのイベントの一環として実施された「WIXAS Meet The World '98」という国際交流イベントの記録です。

 

 「和歌山マリンファンタジー」は、1994年に開催された「JAPAN EXPO 世界リゾート博」のメモリアルイベントとして実施されたもので、1995年の「和歌山ルミナリエ」、1996年「和歌山サマーナイトイルミネーション」、1997年「和歌山ソレイヨン」に続くものです。
※「ルミナリエ」、「ソレイヨン」については下記リンク先の記事を御覧ください。
WIXAS Meet The World '97 in 和歌山ソレイヨン(1997.8.16) - 生石高原の麓から

 

 また、「Meet The World」は、国際交流活動の促進や県内在住外国人への支援の推進などを目的として平成2年(1990)に設立された和歌山県国際交流協会(Wakayama International eXchange ASsociation 略称:WIXAS)の主催により「マリンファンタジー」の一環として開催されたイベントで、今回は和歌山県から多くの移住者が移り住み、現在も二世、三世、四世らが様々な分野で活躍しているメキシコの音楽が取り上げられました。
世界の和歌山県人の「和(わ)」 - メキシコ和歌山県人会

 

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WIXAS Meet The World '98
~マリアッチ「ロス・レジェス」&メキシカンダンス~
in Wakayama Marine Fantasy


 平成10年8月14日、和歌山マリーナシティで開催中の「和歌山マリン・ファンタジー」の会場で、財団法人和歌山県国際交流協会(WIXAS)主催の国際交流イベント「Meet The World '98」が開催されました。
 これは、第一部として、マリーナシティ内「わかやま館」で県内在住外国人を講師に迎えた「国際理解講座」と交流会を行い、続けて第二部として「和歌山マリン・ファンタジー」のステージにおいてメキシコ文化を代表するマリアッチの音楽とダンスの公演を行ったもので、マリーナシティ内でのこうしたイベントは、一昨年の「和歌山サマーナイトイルミネーション」、昨年の「和歌山ソレイヨン」に続いて三回目の開催になります。
 それでは、例によって写真レポートをお届けします。

 

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世界リゾート博4周年記念イベント
Wakayama Marine Fantasy

 和歌山市の沖に浮かぶ人工島「和歌山マリーナシティ」では、平成6年に「ジャパンエキスポ 世界リゾート博」が開催されました。その剰余金で運営されている「財団法人 世界リゾート博記念財団」では、博覧会を記念して毎年マリーナシティを会場として光をテーマにしたイベントを開催しています。
 平成7年「和歌山ルミナリエ」、平成8年「和歌山サマーナイトイルミネーション」、平成9年「和歌山ソレイヨン」と続けられたこのイベントは、今年、「和歌山マリン・ファンタジー」として8月7日から8月16日までの間開催されました。

 

 今年のイベントでは、テクノロジーアーチスト安蔵隆朝氏の監修による三体の光のシンボルオブジェが海上に浮かべられました。このオブジェは、直径が6m、高さは中央20m、両サイド15mで、電球約2万個が使われ、熊野三山の神が宿る聖なる未来の玉としてイメージデザインされています。
 このシンボルオブジェを中心に一日に3回~4回開催される「マリンファンタジーショー」では、アニメ「もののけ姫」のテーマを担当した作曲家の久石譲氏のオリジナルミュージックにあわせて、照明やレーザー光線などによる幻想的な世界が広がりました。

 

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 「太陽の国」と呼ばれるメキシコは、明治時代から和歌山県出身の移民者が多く、社会の有力者としても多くの人々が活躍しています。また、平成7年には、メキシコのシナロア州と和歌山県が友好提携を締結しており、実は和歌山とはかなり近い関係にあります和歌山県庁の国際交流課にも、日系メキシコ人の女性が国際交流員として勤務しています)
 こうしたことから、音楽を通じてメキシコのことをもっと知ってもらおうと、今年の「Meet the World」では、メキシコの代表的な音楽であるマリアッチの楽団を招きました。
 今回ステージに出演してくれたのは、「ロス・レジェス」というグループで、1965年に結成されて以来、アメリカ、南米、ヨーロッパ、日本など各地でコンサートツアーを行っている実力派だそうです。NHKの「ときめき夢サウンド」にも出演したことがあるらしいですから、知っている人は知っているのでしょうね(^^ゞ。
 今日のステージでは、「グアダラハラ」、「エル・シナロエンセ(シナロアの女)」などといったマリアッチのスタンダードのほか、「コンドルは飛んでいく」や「ベサメムーチョ」など、日本人になじみ深い曲も演奏されました。

 

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 ロス・レジェスの演奏をバックにメキシカンダンスを見せてくれたのは、「ダンサス・イ・カントス」。3人ともメキシコシティで最も有名な民族舞踊学校である「エスクエラ・デ・ダンサス」出身で、ロス・レジェス同様世界中で公演を行っているそうです。
 「ラ・バンバ」では、踊りながら、足だけで長いリボンをきれいな蝶結びを作るという粋な技も見せてくれました。

 

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 前の白い衣装はメキシコ北部の伝統的な衣装だそうで、こちらはグアダラハラやシナロアといった地域を代表する衣装だそうです。そういえば、平成6年の「世界リゾート博」で公演を行った「シナロア・ダンスチーム」もこんな衣装を着てたのを思い出します。

 

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 ステージイベントの終了後、午後9時から行われた「マリンファンタジーショー」では、特別に花火も加わったスペシャルバージョンが披露されました。まず、久石氏の荘厳かつ神秘的な音楽にあわせてシンボルオブジェが点滅し、レーザー光線による幻想的な空間が作り出されました。

 

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 レーザー光線イベントの締めくくりとして、シンボルオブジェから花火が打ち上げられました。派手なパフォーマンスに、観客からは大きな歓声が上がっていました。

 

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 続けて、本格的な花火ショーの始まりです。幻想的な音楽にあわせて打ち上げられる花火は、なんだかとってもきれいでした。約10分と時間は短かかったものの、間断なく打ち上げられる花火と音楽とのすばらしいコンビネーションに、終了後観客から一斉に盛大な拍手が送られました。

 

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 マリンファンタジーの隣の場所では、夏休み期間中ずっとボードウォークが開放されており、ディスクジョッキーのトーク&ミュージックや各種のショーが行われています。この日は、「つぶつぶオレンジ」という若手芸人が、炎のジャグリングショーを見せていました。「駐車場待ちの時間つなぎ」と笑いながら言ってましたが、なかなかどうして力の入った芸でしたよ。

 

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 和歌山県から海外諸国への移民は明治18年(1885)の第一回ハワイ官約移民に始まり、戦前・戦後を通じて約33,000人が海外へ雄飛しました。その状況について和歌山県のWebサイトでは次のように解説しています。

和歌山と移民 概要編

全国第6位の移民県-和歌山県からの移住者数-
 和歌山県からの海外移住者数は、第二次世界大戦前がおよそ31,000人、戦後がおよそ2,000人で、広島、沖縄、熊本、山口、福岡についで第6位です(『海外移住統計(国際協力事業団・1994年発行)』より)。日本最初の公式な移民は、1885年(明治18)の第一回ハワイ官約移民で、945人の移民のうち、22人が和歌山県人でした。

 和歌山から世界各地へ移民した人たちの多くは、移住先での永住ではなく、出稼ぎを目的としていました。稼いだお金の多くを、故郷へ送金していたのです。家族や親戚はもちろん、出身地の学校や寺、神社などへも送金されていて、故郷の暮らしを支えていました。

 和歌山県出身の移民からの送金額は、大正末期まで、全国一位であったといわれています。(『和歌山県移民史』より)
※官約移民
ハワイ王国からの依頼でハワイ政府と日本政府との間に条約が結ばれ、日本からハワイへ移民が送り出されました。この政府間条約によってハワイに渡った日本人移民を「官約移民」といいます。

 

世界各地の和歌山県人会
 世界各地へ移民した和歌山県出身の人々は、親睦や相互扶助などを目的に、和歌山県人会を組織しました。故郷から遠く離れた異国の地において、こうした県人会の存在は移住者たちの心のよりどころとなりました。現在、様々な活動を通して文化や伝統を次世代へ継承しています

 

 令和元(2019)には、国内外で設立された「和歌山県人会」が一堂に会し、県民との相互交流を図ることで、ふるさとを離れた方々の郷土への誇りを高め、移民の歴史への理解を深めるとともに、和歌山県の活力を高める機会とするために「和歌山県人会世界大会」が開催され、海外からの参加者約280人(うちメキシコ和歌山県人会48人)を含む約2,000人が出席しました。
和歌山県人会世界大会 | 和歌山県