「イベント回顧録」のカテゴリーでは過去の個人サイトに載せていたイベントの記録などを再掲しています。
今回は平成12年(2000)9月の月見にあわせて行われた生石高原山頂のレストハウス「山の家おいし」の夜間営業告知を紹介します。
近年は「インスタ映え」スポットとして人気を集めている生石高原ですが、ここのいちばんの名物は約13ヘクタールに及ぶ一面のすすき草原です。そして、「すすき」と言えば「月見」と切っても切れない関係にある植物(詳細は後述します)なので、月見の晩には多くの観光客が生石高原を訪れます。
このため、この記事を書いた2000年前後は、生石高原の山頂にある町営(当時は野上町営)のレストハウス「山の家おいし」が特別夜間営業を行っていましたので、その告知を紹介します。
今年もススキの穂の綺麗な季節がやってきます。
月見の夜、光に照らされたススキの草原はほのかに白く浮かび、別世界のようです。
レストハウス「山の家 おいし」でちょっと一服しながら、いつもと違った格別の月を生石高原で楽しんでみませんか。
開店日時 | ||
平成12年 | 9月11日(月) | 午前10時~午後9時 |
9月12日(火) 十五夜 | 午前10時~午後9時 | |
※雨天時は夜間の営業を中止します。 |
お問い合わせ先
レストハウス 山の家おいし
海草郡野上町中田899-29 TEL 073-489-3586
野上町役場 産業課
海草郡野上町動木287 TEL 073-489-5901
「山の家おいし」は、野上町(当時)が「ふるさと創生事業※」を利用して平成2年(1990)に開業した施設です。施設内には軽食も提供する喫茶コーナーや、地元物産の展示・販売コーナーがあるほか、別棟で水洗トイレも整備されています。
※正式名称は「自ら考え自ら行う地域づくり事業」。バブル経済最盛期に竹下総理の発案により実施された事業で、国内の全ての市区町村(地方交付税不交付団体を除く)に対してそれぞれ1億円ずつ(地域振興が目的であればどのような使途に使ってもよい)を交付したことから、別名「ふるさと創生1億円事業」とも呼ばれる。
山の家おいし
生石高原については別項「生石高原の山焼き」において、生石高原のすすき草原保存活動を中心に詳述していますので、興味のある方はこちらも御覧ください。
生石高原の山焼き - 生石高原の麓から
「すすき」と「月見」が密接不可分の関係になったことについて、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「月見」では、収穫に感謝して稲穂を月にお供えする習慣が転じて稲穂の代わりにすすきを供えることになったものではないかと記述されています。
和歌山県の一部では月見の日に竿の先に稲穂を結びつけて庭に立てるところがあり,九州の阿蘇でも稲穂を抜いて作神様に供える例がある。これらの例からすすきを供えるのも稲穂の変化とみられ,月見行事を稲の収穫に先立つ穂掛祭の一種とする考えもある。
また、フラワービジネスの大手企業である日比谷花壇のWebサイトでは次のように解説されており、上記と同様に稲穂の代わりとする説のほか、魔除けとしての意味があるという説を紹介しています。
十五夜(中秋の名月)のすすきの意味は?お月見のお供え物について
(略)
稲穂の代わりとしてのすすき
月の満ち欠けなどを用いて暦を計算した旧暦では、人々の生活と月は密接につながっていました。特に農作業に従事する人々は欠けたところのない満月を豊穣の象徴とし、秋の収穫の感謝を込めて芋や豆などの収穫物を月に供えました。しかし、稲穂はまだ穂が実る前の時期であることから、穂の出たすすきを稲穂に見立てて飾ったと言われています。魔除けとしてのすすき
古くからすすきは神様の依り代と考えられていました。茎が中空(内部が空洞)のため、神様の宿り場になると信じられていたのです。また、すすきの鋭い切り口は、魔除けになるとも考えられました。そのため、お月見のすすきには悪霊や災いなどから収穫物を守り、翌年の豊作を願う意味が込められています。地域によってはお月見に飾ったすすきは捨てず、庭や水田に立てたり、軒先に吊ったりして、災いから田や家を守る風習が今でも残っています。
紀美野町役場のWebサイトでは、毎年秋になると山頂付近のすすきの状況を定期的に写真で紹介していますので、これを確認して生石高原を訪れる観光客の方々も多いようです。
2021年 生石高原のススキ状況について(10/13更新)/紀美野町