昔、那智山に鬼がいた。この鬼、里へ出てきては田畑を荒らし、村人たちを困らせる。
そこで村人たち、一計を案じて鬼にいった。
「もっとヒマな時に出てくればいいのに。ヒマなのは正月の元日から七日までや」
酒が足らんさけ ~新官市~
酒にまつわる話は多い。しかも、その多くは酒が故の失敗談であったり、そのしくじりが喧嘩口論に発展したというものだが、いまも新宮で語られるこの話は、いわば「酒飲みのへ埋屈」であり、そのために身近な笑い話として残ったものだろう。
続きを読む美少女おいの ~新宮市新宮~
「好いた同志のうれしい首尾で 心浮島ひとめぐり」。
新宮節にもうたわれている天然記念物「浮島の森」は、いまなお神秘的な雰囲気をただよわせる。そして、その神秘さをそのまま語るような話が伝わる。
お雪の墓 ~串本町大島~
大島は、太平洋戦争の頃まではむしろ、串本の町より賑わった。とくに徳川三百年の間。江戸へ通う船乗りたちのオアシスとして重宝された。
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