生石高原の麓から

和歌山の歴史・文化・伝承などを気ままに書き連ねています

清姫狂乱 ~中辺路町(現田辺市中辺路町)真砂~

  平安の頃、真砂(まなご)の里に美しい娘がいた。名は「」という。山路に咲く百合のように、その姿は清らかで、村の男たちのあこがれの的だった。縁談は降るようにあったが、には、心ひそかに想いを寄せる若者がいた。毎年、熊野詣での途中、の館に立ち寄り、一夜の宿をとる奥州白河の「安珍」という僧だった。

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藤九郎神社 ~白浜町瀬戸~

 瀬戸浦にある小さな神社は、海の神さま。かつて田辺の沖を通る船は、海に供物を投げた。瀬戸浦の船主は、祭礼になるとノボリを立て、にぎやかに参拝したという。

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からと岩 ~田辺市上秋津~

  会津をさかのぼると、岩と水のコントラストがすばらしい奇絶峡(きぜっきょう)に着く。その一角に、石の扉をぴったりと閉ざした岩穴がある。「からと岩」という。むかし、金の鶏を入れて石の戸を閉め、上に呪文を刻んで出られないようにしたものだとか。梵字らしいそれは、摩滅して読めない。

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怪力獺田 ~田辺市稲成町~

  昔、稲成の里に、獺田(おそだ)というカの強い若者がいて、阿波の力自慢の相撲取りからカくらべを申し込まれた。そこで獺田は、そばの太い孟宗竹を二本引き抜き、二本の指で押しつぶして褌(ふんどし)をつくり、一本を相手に渡した。

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高山寺 ~田辺市稲成町~

 「お弘法さん」と、土地の人たちに親しまれている高山寺は、紀南地方きっての名刹真言宗御室派の寺院で、聖徳太子の創建といい、太子堂には太子自作の像が、また御影堂には、弘法大師が糸田川の渕に自からの影を写して刻んだと伝えられる像が安置されている。

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ショウジョウの釣場 ~田辺市元町~

  昔、田辺の浦に、笛がたいそう巧みな若者がいた。ある日、立戸の浜で笛を吹いていると、美しい娘が現われ、流麗な音色に聞きほれた。

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蟻通しの神さま ~田辺市湊~

  田辺の商店街にある「蟻通神社」には、とても頭のよい神さまがまつられているという。

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武蔵坊弁慶 ~田辺市湊~

 国鉄紀勢線紀伊田辺駅に降り立つと、まず大きな像が目に飛び込んでくる。頭布をかぶり、大なぎなたを手にした。いかつい弁慶

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鶏合わせ ~田辺市湊~

  国鉄紀伊田辺駅前の商店街の近くに、大きな鳥居の社がある。熊野三山のひとつである本宮大社の分神で、保安(1120年代)のころ、本宮を治めた別当湛快が、熊野権現(いまくまのごんげん)としてまつったといい、人はこの社を闘鶏神社と呼ぶ。

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軍道の腰神さん ~印南町崎の原~

  ギックリ腰に悩む人や、お年寄りに人気があるという、風変わりな神さまがいる。崎の原の「腰神さん」だ。

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